ソフトウェア工学の価値

ソフトウェア工学」についてはid:hiyamaさんのhttp://www.symmetric.co.jp/hiyama/SoftwareEngineering.htmから引用すると

僕自身は、ソフトウェア工学を、「どうでもいい(したがって、あまり役に立たない)ソフトウェア工学」と「まっとうな(役に立つと期待できる)ソフトウェア工学」の2種類に分けて考えています。アジャイル派の人々から目のカタキにされているソフトウェア工学は、どうでもいいほうのソフトウェア工学ですね。実際、「ソフトウェア工学」と冠した書籍や記事のなかには、しょうもないことを述べているものもあります。

となる。これは実に有意義かつ当たり前*1の話で、これ以上特に書かなくても良いくらいだ。
でも書く。
私自身は「ソフトウェア工学定量的な研究が足りていない未成熟な分野だ」と思っている。ちなみに開発プロセスの重要性を語っている某大学のソフトウェア工学の教授だか准教授と話をした際に「ええと、誤差付きで効果を測った論文はありますか?」と聞いたら「誤差?聞いたことがないな」という答えだったのが最大の原因だ。もしかしたらその教授だか准教授が未成熟だったのかもしれない。
こういった社会科学の調査が定量性に劣るというのは仕方ないという面もある。測定の対象が人間や人間の集団である以上、実験条件の制御が非常に難しい。先日のアンケートの技法も参照してほしい。人間相手の測定でも医薬品の治験くらいのデータの質と量があれば科学的に正当と呼べると思う*2が、あれは何億円、何十億円とかけても回収できる見込みがあるから可能なわけで。
立場としては経済学と似ているのかもしれない。学問が成熟する速度よりも状況が変化する速度の方が勝っていて、決定的なことは何も言えない状況にも関わらず未来について何か言うことを期待されているという。占い師よりは当たるかもしれないが天気予報よりは当たらないのではないか、というくらいの温かさで見守るのがちょうど良いのではないかな。

*1:有意義なものは大抵そうなのだ。

*2:捏造の問題は別として。