文化はそう簡単に廃れない。

http://anond.hatelabo.jp/20090308235742の話。

音楽はタダだった。

音楽が流通に載るくらいに大量生産されるようになった、すなわちレコード会社が成立してからまだ100年と少ししか経っていない。それまでは音楽のほとんどが祭りや酒場などで聴く・歌う・踊るものだった。芸人へお金を払うのは主催者の役目で、参加者それぞれが払うものではなかった*1

若者は金がない。

いつの時代の若者が文化を下支えしてきたのだろう?むしろ歴史的に見ると、今ほど庶民の若者が文化にお金を使っている時代は珍しいくらいではないだろうか*2。そもそも若者がこれだけお金を持っている時代自体が珍しいのだけど。

今は音楽がよく売れている時代。

日本の場合はhttp://www.riaj.or.jp/data/quantity/index.htmlのデータが参考になる。10年前よりは減ったとは言え20年前よりは多いことが判るだろう。その10年前のピークも主力は8cmシングルCDで一枚辺りの金額も曲数も少ないので割り引いて考えなくてはならない。しかも、この数字はダウンロード販売を含んでいない。

クラシック音楽

クラシック音楽」という名前がミスリーディング。あれは西ヨーロッパに限定された宮廷音楽の一種にすぎない。西ヨーロッパ宮廷音楽は楽譜や楽器、理論などが充実しており*3現代の音楽産業への影響が大きい。しかし、唯一の先祖ではない。
さて、日本で西ヨーロッパの伝統文化を保存する必要はあるのだろうか。少なくとも西ヨーロッパでは盛んに保存されているようだし、日本の出る幕はないと思う。どうせなら日本の宮廷音楽である雅楽を聴いてみたら如何?

ハイロウ。

とりあえず歌舞伎は大衆文化の出身だ。日本相撲協会は神事相撲よりも興行相撲の系譜に連なる*4ので大衆文化の出身だろう。
このように日本の場合、伝統文化として興行をしているものの多くは大衆文化の出自だ。そうではない伝統文化、正月や雛祭り、盆踊りといったもの、は風習の一種とみなされている。日本の文化を支えているのはこういった風習であって芸能ではないと思う。

〆。

不況もあるとは思うが、そんなこといってたら不況ならば文化は廃れて当然なのか、というお話になってしまう。

不況だろうが何だろうが文化はそう簡単に廃れない。不況だろうが何だろうが流行は簡単に廃れる。その点は特に変わらない。主に変わるのは、不況だと流行の規模が小さくなる、不況だと単価の安い流行が増える、といった点だろう。

*1:場代は払っていたかも。

*2:江戸の町民文化ですら中心年齢がもっと上。

*3:個人的には五線譜記法の発明が最大の要因だと思う。

*4:両者は厳密に分けられるものではないが。