視点または視座の問題

視点または視座の問題とは「語り手に対応する作中世界のものは何か」という点に集約される。

  • 対応するものが登場人物ならば「人物視点」
  • 対応するものが全知的存在ならば「神視点」
  • 対応するものが物理的な事象のみを認知する存在ならば「カメラ視点」

など。

もし対応するものが無かったとすれば、それは何らかのメタ存在に視点を置いていると考えてよいだろう。そのようなメタ存在としてしばしば見られる(悪い)例は

  • 作者の思想・理念を読者に伝える「作者視点」
  • <正しい読み方>を読者に教える「解説者視点」

など。
大概の商業作品では作者自身がメタ性に自覚を持っている*1らしく、表記の次元をずらして明確にメタ化されることが通例である。
例えば、漫画では注釈*2や登場人物に解説をさせるという形式とって表現されるし、映像作品ではナレーションの形式をとって表現される。小説ではこれに相当する手法が一般的でない*3ため、技法の開発や定着が待たれるところである。

*1:単に校閲段階で撥ねられるだけかもしれないが。

*2:その白眉が民明書房だろう。

*3:欄外の注釈という形式はあるが、あまり使われていない。