リアルタイム

ゲームにはリアルタイムなものとそうでないものがある。
ボードゲームの大半はリアルタイムでない。ボードで刻一刻と状況が変わるようなものを表現するのは難しいからだ。スポーツの大半はリアルタイムだ。身体を使って表現する以上、刻一刻と状況が変わるのが当り前だからだ。
では、コンピュータ・ゲームはどうだろう。STGやACGではリアルタイムが当然だし、RPGSLGでは非リアルタイムが多い。最近では処理速度の向上に伴い、RPGSLGでもリアルタイムであることも多い。このほとんど身体を使わないのにリアルタイムであるというのはコンピュータ・ゲームに特有だろう。

さて、リアルタイムにも利点と欠点がある。
利点は刺激が強いことだろう。入力すれば即座に結果が返って来るし、入力しなくても状況が変化して行く。刺激が継続的にやって来る訳である。
欠点は戦術性に劣ることだろう。時間に制限があるということはその間に比較検討できる戦術の数が少ないということである。それを前提にバランスを取ると同時に選べる有効な戦術が2、3しかないということになりやすい。
ただし、この欠点は見方を変えれば利点ともなる。取り得る戦術が少ないということは、戦術の選択という面においては、初心者と上級者の差が小さいということにもなる。それは駆け引きが成立しやすいという利点に繋がる。*1
という訳でリアルタイム・ゲームは非リアルタイム・ゲームよりも優れていると言えるだろうか。ちょっと待って欲しい。前述の利点には陥穽があるのだ。それは刺激の強さにはすぐ慣れてしまうということ、駆け引きが面白いのは対人対戦に限られるということである。
例えば、最近のFFでは戦闘中に魔法を使うと派手な演出がある。しかし、3回も見れば満足してしまうのではないか。そのうち時間の無駄だとさえ思うようになる。そして次の魔法ではより派手な演出が行われる訳だ。
対人戦が面白いのは駆け引きが面白いからである。旧世代のコンピュータ・ゲームであっても対戦ならば面白いというものは多々ある。*2しかし、駆け引きは対コンピュータ戦ではそもそも成立しない。現代のゲームにおける思考ルーチンは駆け引きが出来るほど優秀ではないからだ。あらかじめ決められた動きをする=>乱数を加味して動く=>プレイヤーの動きに反応して動く=>……といった辺りが限界だろう。将来はもっと良い思考ルーチンが当り前になることを願う。

最後に強調しておきたいのはリアルタイムばかりがゲームの進化ではないということだ。むしろ非対戦ゲームではリアルタイムは害になることさえある。

*1:もちろん、実際のリアルタイム・ゲームでは初心者と上級者との間に反射速度の差という大きな壁が存在する。上級者は駆け引きをするまでもなく初心者に勝つのだ。

*2:例えば(初代)マリオブラザーズである。4世代も前のものであるにも関わらず、今でも対人戦ならば熱い。