ゼロ年代の作家

これもhttp://d.hatena.ne.jp/solar/20090322#p1の話。
ゼロ年代の作家ってそんなにいないか?と思ったので調べてみた。基準はタイムラグを考慮して1998年以降にデビューとした。発表年と出版年が混じっているけど気にしない方向で。

絲山秋子
2003年『イッツ・オンリー・トーク』(デビュー)、2005年『沖で待つ』。
古川日出男
1998年『13』(デビュー)、2002年『アラビアの夜の種族』。
舞城王太郎
2001年『煙か土か食い物』(デビュー)、2003年『阿修羅ガール』、2004年『好き好き大好き超愛してる。』、2008年『ディスコ探偵水曜日』。
鹿島田真希
1999年『二匹』(デビュー)、2005年『六〇〇〇度の愛』。
綿矢りさ
2001年『インストール』(デビュー)、2003年『蹴りたい背中』。
佐藤友哉
2001年『フリッカー式』(デビュー)、2007年『1000の小説とバックベアード』。
島本理生
2001年『シルエット』(実質デビュー)、2003年『リトル・バイ・リトル』、2005年『ナラタージュ』。
柴崎友香
1999年『レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー』(デビュー)、2006年『その街の今は』。
嶽本野ばら
2000年『ミシン』(デビュー)、2002年『下妻物語』、2004年『ロリヰタ。』。
中村文則
2002年『銃』(デビュー)、2005年『土の中の子供』。
中原昌也
1998年『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(デビュー)、2001年『あらゆる場所に花束が……』、2006年『名もなき孤児たちの墓』。
宮崎誉子
1998年『世界の終わり』(デビュー)、2006年『少女@ロボット』。
古処誠二
2000年『UNKNOWN』(デビュー)、2005年『七月七日』、2008年『敵影』。
西尾維新
2002年『クビキリサイクル』(デビュー)。
伊坂幸太郎
2000年『オーデュボンの祈り』(デビュー)、2003年『重力ピエロ』、2008年『ゴールデンスランバー』。

他にもジャンル小説出身のためデビューが早いものの、ゼロ年代に評価が大きく上がった

ゼロ年代の作家に数えてよいと思う。小説外からの越境組の

も同様。

感想。

"登場"と言葉をデビューではなく芥川賞三島賞を取るようになったと解釈した場合だが、これだけいれば"2000年代の半ば以後、才能ある作家の登場がパッタリと途絶えた"というほどでもあるまい。デビューを基準にするなら成長期間として数年待ってからリスト化した方が良いだろう。
"先行作家に果敢に挑む感じの男の作家がなかなか出てこない"というように「文学」は女性作家の方が評価が高い。とは言っても"先行作家に果敢に挑む"際の行儀が良すぎて、先行作家のレールの上で書いている、という印象さえある。
ゼロ年代を総括(まだ終わっていない)するなら、文学の世界ではジャンル小説が主役だった、というところだろうか。ジャンル小説から文学性を発見するという流れはまだまだ続くはずだ。その状況はとても健全だと思う。