突然変異と淘汰圧

http://anond.hatelabo.jp/20090326225504に突っ込み。

DNAの置換率は時間と正比例して、置換速度は遺伝子ごとに一定であることが確認されてる。
遺伝子の変化率というのは、淘汰圧がかかろうとかからまいと一定であるということに他ならない。
むしろ、自然淘汰とまったく関係ない、不必要な遺伝子ほど置換速度は速い。

むしろ、」に思わず取消線を引いてしまったように、上の引用部、事実認識としては大筋正しいのに論理展開がおかしくなっている。これは比較的多い誤解なので解説しておこうと思う。
DNAの置換率は全くの均一というわけではないけれど「その部分が有用だから置換されにくい」といったことはない。淘汰圧というのは「遺伝子が変化した後、個体が生き延びて繁殖し、次世代に遺伝子を残すことができるかどうか」という確率をマクロから表現したものだ。
「だから淘汰圧の高い遺伝子ほど置換速度が速くなる」という考えに至る人が多い。だけどこれが大きな誤解なのだ。この誤解を解くためには一つの事実を追加すれば良い。それは

  • 大抵の生物は自分が生きていくのに重要な遺伝子を既に持っている。

というものだ。
あらゆる生物において淘汰圧の高い遺伝子には既にチャンピオンが座っている。例えば、最も重要な遺伝子が変化した場合、受精に失敗して生存競争に参加することができない。次に重要なのは重篤な遺伝病や畸形などだが、手厚い保護がなければ生存や成長できず次世代に遺伝子を残すことも難しい。
それらに比べると「進化」はあまり重要ではないものしか扱っていないことが判る。例えば、身体能力や性的魅力などは要素として目立つものの、少々劣っていても生き延びる障害というほどではない。そもそも表現形に影響しない「ジャンク遺伝子」では不利にすらならない。

DNAの置換率は時間と正比例して、置換速度は遺伝子ごとに一定であることが確認されてる。
遺伝子の変化率というのは、淘汰圧がかかろうとかからまいと一定であるということに他ならない。
大抵の生物は自分が生きていくのに重要な遺伝子を既に持っている。
だから、自然淘汰とまったく関係ない、不必要な遺伝子ほど置換速度は速い。