アキレスとカメ

その本を読まずに書くのは難があるけれども、http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/20090328/1238227469の話。

吉永さんは、このオリジナルの文章の中に、いくつか注目すべき点がある、と指摘している。第一は、どこにもアキレスやカメの「速度が一定」などとは書かれていない、ということ。第二は、どこにも「永遠に追いつかない」という「時間」に関する言及がない、ということ。第三に、さりげなく「点」ということばを入れ、ユークリッドが『原論』の中で「点とは面積がないものである」というイデア的な定義を与えた、その定義に立脚していることを匂わせていること。

「アキレスとカメ」を整理するなら"どこにも「永遠に追いつかない」という「時間」に関する言及がない"の一点だけで充分だ。モデルとしても等比級数のままで構わない。
そもそもの主張は「どれだけのステップを費やしても追いつけない」というものだ。\sum_{n=1}r^{k}という等比級数モデルで書くと[tex:\{ ^{\forall}n, ^{\forall}r | 0時間を費やしても追いつけない」と誤解することでパラドックスが生まれる。「アキレスとカメ」世界ではアキレスがカメに追いつく瞬間というものが定義できない。外部世界の観察者だけがその瞬間を見ることができる。