図書館の役割

図書館は「知る権利」を守るために「情報」を提供している。問題はどんな「情報」を提供するかという点だと思う。
図書館は制度・設備ともに蓄積した書籍資料、つまり「よく整理された過去の情報」を提供するようにできている。それ以外の情報を提供しようとしてもあまり効率が良くない。例えば、TVニュースほど最新の情報を提供することができないし、インターネットほど大量の(雑多な)情報を提供することもできない。
図書館以上に優れた「よく整理された過去の情報」を提供する者がいない以上、現在の利用者のために「よく整理された過去の情報」を提供し続けるべきだ。そして未来の利用者のために「現在の情報」を整理しておく必要がある。現に10年や20年も経てば散逸してしまうような資料が流通しているのだから、それらを収集することも図書館の仕事のうちだ。
要するに図書館が「情報」を提供する先は10年後、100年後、1000年後の人間も含むのだという話*1

*1:本来、そういった公益的な分野だから税金で運営されているのだよね。資料というものはしばしば本来の用途と全く別の用途が後から発見される。江戸文化の研究には個人の日記や商家の帳面が重要といった具合。だから浅くても幅広い資料を残しておく必要がある。文学でも当時の権威が後代に全く顧みられなくなったという例は多い。