同じ/違う

http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20090102/1230885496について。
「人それぞれ」は常に正しい。無限に細かく分析しても区別がつかないものは一つのものと定義しても構わない以上、それぞれ違うことを前提としているから別々の個人として認識することができる。例えば、同じ巣の働き蟻同士の個体差を見分けられる人が少ないように。
しかし「人それぞれ」の幅は案外狭いのではないか。「案外」というのは、物語の想像力よりも現実のものが狭いという意味でもあるし、歴史の広がりよりも現在のものが狭いという意味でもある。単に「私が思っていたほど幅がなかった」という意味でしかない。大抵の驚きは「もしかしたらそんな人もいるかもしれないとは思っていたが、現実にそんな人が現れたとは驚きだ」というものだ。その意味で私が想定している範囲は狭いのかもしれない。きっと「私の想定⊆現実⊆想像力」という関係が近似的に成り立っている。
つまり「同じ/違う」という二値的な関係ならば常に「違う」という点に議論の余地がないとしても、「近い/遠い」という連続的な関係ならば議論の余地があるということだ。ただし「近い/遠い」というのは一次元や二次元の図で表すことが出来るような単純なものではないだろう。とりあえずR^{\infty}くらいの空間を用意しておき目立つ成分から分析するくらいしか手法はなさそうだ*1
たぶん「同じ/違う」を語る人も最初に「同じ/違う」の基準を定義すれば議論が収束しやすくなるのではないかと思う。上の「近い/遠い」で言えば「どのような評価をしたら」「どのような閾値より近い」ときを「同じ」と定義するかということになる。
まあ、「議論」と言いながらポジション・トークをする人は別ということで。

*1:無限次元のデータに使える分析手法を私は知らないので。何らかの制約があるデータなら出来そうな気もする。