読書日記

Gene Rodman Wolfe著/柳下毅一郎訳『ケルベロス第五の首』ISBN:4336045666

Marcel Proust著/鈴木道彦訳『失われた時を求めて〈下〉』ISBN:4087731502

Marcel Proust著/鈴木道彦訳『失われた時を求めて〈上〉』ISBN:4087731499

Eric Garcia『さらば、愛しき鉤爪』ISBN:4789717690

出来の良いパロディは何時読んでも楽しめる。まあ、それは定義のようなものであり、同義反復といってもよいのだが、最も頼りになる指標であるのも事実だ。

笠井潔『オイディプス症候群』ISBN:4334923577

電車内で読むには重い一冊。 ミステリとしては各部分の繋がりが弱い。フーコーを『監獄の誕生』一点に絞ってしまうのはお座成りすぎると思う。

京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』ISBN:4061822934

まだ200頁ほど残っているのですけど、展開はあからさまなので感想。ええと、榎木津がいなければ小説にならない事件ですね。 物語の内部では何ら不思議なことは起こっておらず*1、過去四件の事件の相似性を強調したり、榎木津の宣告を挟んでみたり、……といっ…

星野智幸『目覚めよと人魚は歌う』ISBN:4104372013

面白いくらいに私の好みと合わない小説だった。登場人物は象徴的にすぎるように思うし、“血が固まった色の口紅”といった比喩にも困惑したし、いちいち読み辛いことばかり。

浦賀和宏『透明人間―UBIQUITY』ISBN:4061823361

浦賀らしくないというべきか、浦賀らしいというべきか。島田荘司ににも似た手付きで拡げた大風呂敷を、浦賀ならではの結末へとまとめ上げてしまった。 ミステリというジャンルに対する葛藤が無ければ書けない小説なのは確かなのだけれど、内容についてよりも…

大塚英志『キャラクター小説の作り方』ISBN:4061496468

左右の瞳の色が違うキャラクター〜」の部分の指摘が、某秋月の小説を読んでから書いたかのように笑いました。ただ、京極・清涼院というミステリ面を放棄した作家を、ミステリ作家の代表であるかのように扱うのはアンフェアですね。 プロットをまとめるのが苦…

奥泉光『新・地底旅行』ISBN:4022578920

読み終わったところ。 或る程度は予想していた通り、伏線を回収しない・唐突に話が大きくなる・そのまま終わる、という展開でした。面白くないことはないのだけど、筋書がぐだぐだなのは憂鬱になります。

奥泉光『新・地底旅行』ISBN:4022578920

第九章まで読んだところ。 爺さんだとか、握り飯だとか、温泉だとか、本筋と関係のない文章の上手さに感得する。でも、登場人物といい、地球空洞説といい、今更としか言いようがない素材ばかりだし、SFとしての出来はあまり期待できないかな。

高橋源一郎『ゴヂラ』ISBN:4104508012

いまいち。

浅暮三文『似非エルサレム記』ISBN:4087753220

ある日突然、エルサレムが意志を持って動き出した!という現実+αの設定のファンタジー。 SF的なものを期待すれば緩々、風刺・寓話として読めば脱力、……、という調子で、決して全方位的な大作ではないと思う。戯画化された国際情勢の元で動き出したエルサレ…

島田荘司『ねじ式ザゼツキー』ISBN:4061823418

ううむ、序盤の展開は『眩暈』にそっくり。まあ、以前自分で使ったネタを一部再利用しているわけで、やや不満がないわけでもない。ただ、それでも『眩暈』より面白くなっていたし、こういう拡大再生産も有りなのかもしれないと思う。*1それと、横書きが読み…